「アニメのプロデューサー」という仕事 : ウルトラスーパーピクチャーズ・平澤直さんインタビュー(後編)【今どきエンタメ職業最前線~あるいはオタクなオシゴト事情~ 第3回】(1/3)

オタクなエンタメ業界の職業を深掘っていく連載企画「今どきエンタメ職業戦線」の第3回。今回は「アニメのプロデューサー」の仕事に注目! 現在ウルトラスーパーピクチャーズのプロデューサーとして活躍されている、平澤直さんにお話を伺いました。

インタビューの後編をお届けします!

▼前編はこちらから
https://magazine.hackadoll.com/article/9


3DCG、短尺動画…よりアニメの新しい可能性に挑戦するためウルトラスーパーピクチャーズへの転身

──そうした中、あらたにウルトラスーパーピクチャーズ(以下、USP)に転職をされるわけですが、この際はどういった背景があったのでしょうか。

平澤直さん(以下、平澤):
 プロダクションI.Gと同様、制作現場に寄り添う仕事ではありますが、ひとつ明確な違いがありました。会社が立ち上がってからの時間です。プロダクションI.Gは僕が転職する前に、上場をはたしていました。制作スタジオとしては業界内でも一目も二目もおかれる存在となり、すでにフラッグシップとなるアニメ作品がたくさんある状態です。裏を返せば、そういった作品を担当した凄腕プロデューサーたちが社内にたくさんいる状態です。

 一方、USPは2011年に立ち上がった新しい会社で、当然のことながらこれから自分たちの看板となる作品をつくろうというフェーズです。さらに同時期にアニメのデジタル化、とくに3DCGが活躍の場を広げる波がきはじめ、いずれCGをふんだんに使ったアニメが主流になるのではないかと考えるタイミングでもありました。会社のいるステージと3DCG技術の今後の可能性、この2点を鑑み、どちらがよりチャンスが多く、挑戦しがいのある環境なのかを考えた結果、USPでサンジゲンの企画開発・プロデュースを頑張ることを決断しました。




──USP時代の平澤さんのお仕事で、個人的にすごく革新的だなと感じたのが、アニメ『モンスターストライク』でアニメの放送媒体としてYouTubeを使われたこと、そして30分アニメの枠を約7分のアニメ3作に分割して放送する『ウルトラスーパーアニメタイム』という試みでした。これらはどういった経緯で企画がはじまったのでしょうか。

平澤:
 クリエイターさんをはじめ制作サイドがやりたいこと、出資者さんを筆頭としたコンテンツサイドの思惑、そして、視聴者サイドの望みをどのようにマッチングさせるかを考えた中で、それぞれ着地点を探しました。
 『モンスターストライク』はアニメ化のお話をいただいた際、すでにゲームアプリとして多くのファンがいる作品でした。そういったスマートフォンでゲームを楽しむ既存のファンに向けて、どのようにアニメを届けるべきかを考えたとき、浮かんできたのが「スマートフォンでアニメを観てもらうためには?」という命題で、その答えが「YouTube」と「短尺」という答えでした。

 『ウルトラスーパーアニメタイム』については、単純に「ファンは毎週30分番組を見ることを本当に望んでいるのだろうか」という疑問からはじまった企画です。とくに四コマ漫画が原作の場合などは短尺のほうが向いているのではないかなと、もとより思っていました。さらに当時、制作スタジオの独立が重なった時期で、そういった新設スタジオにもスポットがあたる企画にしたいなと考えていました。30分1クールを元請け(※)できるほどの体力はなくても、ショートアニメであれば比較的間口を広くでき、若いスタジオにとって活躍の場を提供できるのではないかと考え、『ウルトラスーパーアニメタイム』の7分アニメを3本まとめる、というフォーマットになりました。

※元請け…企画から実際にアニメとして仕上げるまでを一貫して行うこと。元請け制作会社は複数の制作会社へ一部業務を委託することがあり、それらを請けおうことを「グロス請け」と呼ぶ


※ウルトラスーパーピクチャーズ社内風景。作品のポスター等が掲示されている


平澤:
 あげていただいた2つの作品から学んだこととしては、「ショートアニメであれば、企画の立ち上げから作品を世に出すまでのスパンを大分短くすることができる」ということです。これは動きの早いアプリ系の企業などにとって、喜んでいただける形もあるので、今後いろいろなところでショートアニメは活用されるのではないかと思います。

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