「声優のマネージャー」という仕事 : ホリプロ・金成雄文さんインタビュー後編 ─【今どきエンタメ職業最前線~あるいはオタクなオシゴト事情~ 第1回】(1/2)

オタクなエンタメ業界の職業を深掘っていく連載企画「今どきエンタメ職業戦線」の第1回では「声優のマネージャー」の仕事に注目! 現在ホリプロで声優のマネージャーとして活躍されている、金成雄文さんにお話を伺いました。

インタビューの後編をお届けします!

▼前編はこちらから
https://magazine.hackadoll.com/article/3


声優アーティストのマネジメントの大変さ、その醍醐味

――現在、御社で声優として所属されていらっしゃるタレントさんは何名いらっしゃいますか。

金成雄文さん(以下、金成):
 基本、TSCのファイナリストということになりますので、現在7名ですね。ただ、最近はほかの部署のタレントや俳優が声優に挑戦してみて、お仕事をいただくケースもあり、ブッキングのお手伝いをすることもありますね。

ホリプロ:金成雄文さん


――TSCからすでに6年の歳月が経ったわけですが、振り返ってみていかがでしょうか。

金成:
 正直なところ、まだまだ全然ダメだな~と思っています。実は声優部門は正式な部署にまだなっておらず、自分が副部長を務める音楽事業部内でマネージメントしているという状態です。声優が歌手活動も行うので音楽事業部にいる事に違和感はないのですが、アニメ・声優業界は独自のルールでしたり側面をもつ業界だとも思いますので、その業界としっかり向き合えるように会社として実績を作り、いつか声優&アニメに特化した部署を作れたらいいなと思っています。 声優とアーティストの両面を考えると、アーティストとしては6年前と比べ、近くに入らさせていただいていると感じます。ただ根幹である声優としては、音響監督さんから「もっとホリプロの声優を使いたい」とご要望をいただけるように精進していかなくてはと切に思っております。


――TSCの募集の際も、「声優アーティスト」というくくりだったので、アーティストという側面もしっかりと押さえていきたい、という意図を感じました。ただ、今お話をお聞きしたところでは、声優のお仕事一本でいかれるようなタレントさんの採用の可能性もある、ということでしょうか。

金成:
 そうですね。声優アーティストとはいっても、声優業とアーティスト業の比率は、タレントごとによって当然変わっていきます。声優が8、アーティストが2の子がいれば、その逆の子もいると思います。声優に振り切ったタレントも、アニソンアーティストに専念したいタレントも活動を続けていく上でどちらも可能性はあります。とはいえ、ソロのアーティスト業に関わらず、歌う機会がとても多い今の声優にとって歌手業は切り離せない側面も多いのでアーティストとしての素養も持っていてほしいとは思います。
とはいえ、声優業とアーティスト業を同時にやるというのは支えていく上で想像以上に気を使いますね。



――具体的にはどういった部分に気を使うのでしょうか。

金成:  以前とあるレコード会社の方とお話した際にいただいた言葉が印象的で、その方は「自分自身が本気でケアできる声優アーティストは人生で2人、もしくは3人が限度だろう」とおっしゃっていました。その言葉を聞いた当初はその意味がつかめていなかったのですが、つまりはスケジューリングやケアが非常に大変、ということなんですよね。
 一番のポイントは喉で、当たり前のことなんですが喉って必ずどこかで調子が悪くなるんです。マイクの前に立ったらごまかしは一切きかないので、風邪なんか引いた場合は休むしかない。休むと言っても、1週間で治るのか、2週間で治るのか。仮に2回も3回もレギュラー番組の収録を飛ばしたら仕事復帰が相当大変ですよね。もちろん声優に限らず他のタレントでも同様ですが、声優はそこが特にシビアだと思います。
 仕事を詰め込みすぎないようにしなくてはいけない、今後の仕事につなげるためインプットする時間を取らなくてはいけない、といろいろ真剣に考えると同時に何人も担当できないですよね。声優アーティストって、要は声優とアーティストそれぞれ別のタレントで、2人担当しているようなものなので。でも、声優とアーティストの両方をひとりでマネジメントする大変さも、この仕事の醍醐味なんです。ファンから見ても、切り離せるものではないと思うので、トータルマネジメントを考えたとき、両方をひとりで抱えるほうが理にかなっているとは思います。

マネージャーに必要な3つの要素とは?

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